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若冲らと並ぶ幻の画家、唯一現存作品か 京都に龍の天井画

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江戸中期の画家とされる調子武音作の可能性が高まった天井画(18日、京都市東山区・妙法院) 

天台宗の京都五箇室門跡の一つ、妙法院(京都市東山区)本堂に描かれた龍の天井画が、江戸時代中期の絵師とされる調子武音(ちょうし・ぶおん)(1716~75年)の作である可能性が高いことが25日までに分かった。調子は、伊藤若冲や円山応挙、池大雅らと並び、京都で活動した画家として当時の文献に名が一時出るが、作品が見つかっていない「幻の画家」。調査した研究者や寺院関係者は「なぜここに、唯一の作品が残されたのか、謎がかえって深まった」と話している。

 本堂は1799(寛政11)年に完成し、本尊の普賢菩薩(ふげんぼさつ)を安置しているため、「普賢堂」とも呼ばれている。天井画は3メートル四方の大きさで、仏法守護や火伏せを願って描かれたとみられるが、作者や制作年代は不明だった。

 調子は京都で活動した文化人の総覧「平安人物志」の1768(明和5)年版で、画家16人の中に出てくる絵師。天井画は2017年5月から、近世絵画に詳しい東北大の杉本欣久准教授(当時・黒川古文化研究所研究員)が調査を進めていた。

 絵の落款に記された身分や氏名を元に、宮中に仕えていた役人を載せた名簿をひもといた結果、朝廷を守る武士だった調子を作者と推定した。制作年代は、調子の肩書の推移と落款の身分表記を照らし合わせ、約250年前の明和年間とみている。

 本堂がほぼ非公開だったため、円の中に描かれた龍の水墨画の輪郭や朱色などの着色はほぼ当時の姿をとどめる。一方、寺史に絵の来歴が記されていない上、調子の絵がほかに確認されておらず、流派なども分かっていない。

 杉本准教授は「不明な点の継続研究が必要とはいえ、江戸期を代表する画家らとともに列記されていた人の絵がオリジナルに近い形で残されているのは貴重だ」と話している。妙法院は「大切に護持しつつ、さらなる解明につなげたい」としている。

 本尊の縁日に当たる5月14日、境内の文化財を無料で特別公開する「五月会」を開催。天井画のある本堂では、午前9時から法華三昧などを営む。


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