林建宏さん
(台北 3日 中央社)台湾は街中のいたるところに茶のドリンクスタンドがあり、コンビニエンスストアにはペットボトル入りの茶がずらりと並ぶ。そんな環境の中、「これでは茶の本来の風味を味わえない」と語るのは、老舗製茶店の2代目で、茶ブランド「GLT」(◯龍団)創業者の林建宏さん。林さんは若者に茶の真の美味しさを伝え、茶を好きになってもらおうと、炭酸入りの「スパークリング茶」を開発し、茶の文化の伝承に力を注いでいる。(◯=たてぼう、コン部)
かつては医療に従事していた林さん。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行を機に、大きなストレスを感じる病院勤務に疲れを感じ、茶の栽培や販売を手掛ける父親の跡を継ぐことを決めた。その後、家業にのめり込むうちに、台湾の茶離れに気付くようになったという。
茶をおいしく素早く入れるにはどうすればいいのか。林さんは若者に茶を好きになってもらうために考え始めた。ドリンクスタンドの茶には氷や添加物が加えられているが、氷は大腸菌などの感染源になる上に茶の風味を薄めてしまうため、氷を使わずに茶の香りや口当たりが楽しめるようにすることも考慮した。茶には茶葉の品質や入れる人の技術によって味わいが左右されるという問題もある。そこで思い付いたのが、エスプレッソコーヒーを抽出する方法をまねること。試行錯誤の末、粉状の茶葉と大型のエスプレッソマシン、急速冷却機を使い、わずか40秒で茶を6度まで冷まし、茶の本来の味を閉じ込めることに成功した。
熱い茶を入れ、急速冷却してから瓶に詰めるという一連の作業をマニュアル化し、林さんはこの製作方法を特許申請したという。
GLTは台北市内で先月開かれた「クリエイティブエクスポ台湾」(2018台湾文化創意設計博覽会)に出展。会場では多くの来場者がスパークリング茶を試す姿が見られた。