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芸舞妓のオーラ、人工的セットで表現 写真家・蜷川実花さん

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鮮やかな色彩感覚で舞妓や芸妓をとらえた蜷川さんの作品が並ぶ会場
(京都市下京区・美術館「えき」KYOTO) 


「蜷川実花写真展 UTAGE 京都花街の夢」 


写真家蜷川実花さんが、京都の芸舞妓15人を撮り下ろした「蜷川実花写真展 UTAGE 京都花街の夢」が、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開かれている。華やかな色彩感覚で知られる蜷川さんが2年かけて京都に通い、五花街から選ばれた芸妓、舞妓それぞれのイメージに合わせて特別なセットを作って撮影した。さらに、四季折々の京都の風景も撮影し、約80点を組み合わせて展示している。蜷川さんに写真展にかける思いを語ってもらい、写真展のプロデューサーに狙いを聞いた。

 -「UTAGE」を撮影するきっかけは。

 蜷川 2016年にマレーシアで日本や京都を紹介する展覧会に芸舞妓を2、3人を撮影した。それをきっかけにもっと撮ってみたいと思い、さまざまなご縁で実現することができた。2年間、京都に通った。

 -撮影して感じた芸舞妓の魅力は。

 蜷川 そこに確かにいるのに、現実の存在でないような不思議な感覚。長い年月で培われた文化と、それを背負う覚悟をもった女性の凜(りん)とした美しさや強さがあった。

 もちろん普段の表情も見られたが、いざカメラの前に立つと吸い込まれそうな魅力にあふれていた。これまで数多くの女優やアーティストを撮影してきたが、それとは全く違うオーラだった。

 -花街の文化は自身のカラフルな世界観と合った?

 蜷川 かんざしなど小物ひとつ取っても、女性なら心拍数が上がるくらいの魅力的な世界。名前の雰囲気などからイメージを膨らませて一人一人に違うセットを組んだ。その人工的な世界と夢のような世界がうまくシンクロしたと思う。

 -京都の四季も同時に撮影した。

 蜷川 京都やパリは完成度が高い街なので写真家にとっては難しい。幼いころからよく京都を訪れていたが、力量が足りない。京都に「負ける」と感じていた。今なら撮れるかもしれないと今回、正面から向き合い、芸舞妓と一体の作品として出すことができた。

 -出来栄えは。

 蜷川 撮影中はただ一生懸命だったが、写真集になるとすごくいい感触がある。彼女たちが持っている個性やパワーが増幅して写っているのではないかと思う。花街という世界を知るきっかけにもなればと思う。


 今回の展覧会について、プロデューサーの後藤繁雄さん(京都造形芸大教授)は「現代は女性の視点が重要。男が作ってきた価値観を変えるきっかけにしたい」という。

 1990年代にデビューし、カラフルな世界観で「女の子文化」を代表する蜷川実花さんを「消費されるだけではない新しい文化の担い手」だと期待し、「蜷川さんが現代女性の感覚で、伝統的な花街をどうとらえるか。その化学反応に挑戦した」と話す。

 花街はすべて女性がつくってきた文化だとして「蜷川さんと芸舞妓が写真を通して共感し、会話できるのではないか」とも。後藤さんは「花街は夢のような世界だが、写真も虚構と現実の間に存在する。彼女たちの互いの思いを増幅させるのが、『UTAGE』の狙いだった」と述べ、男性と女性が一緒に作品を見て「ぜひ、互いの思いを語り合ってほしい」と願っている。


 ■蜷川実花写真展 5月13日まで。午前10時~午後8時。京都市下京区のジェイアール京都伊勢丹7階隣接。一般900円、高大生700円、小中生500円。大型写真集も会場で販売。問い合わせは京都伊勢丹075(352)1111。


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