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山陰ジオパークに「イエローカード」 京都、認定取り消し危機

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保全活動の一環で、立岩周辺の海岸を清掃する市民たち
(4月22日、京都府京丹後市丹後町) 



京都府京丹後市の経ケ岬から鳥取県にかけて3府県約110キロにわたる山陰海岸ジオパークが、認定取り消しの危機にひんしている。日本ジオパーク委員会は昨秋の再審査で地域間の連携不足などを理由に「条件付き再認定」とした。実質的な「イエローカード」で、関係者らは「今夏の世界審査でも同じなら、認定取り消しもある」と危機感を募らせる。

 垂直に伸びた柱状節理が美しい同市丹後町の巨大な一枚岩・立岩。4月22日に市民ら約130人が、約7トンに及ぶ海岸漂着ごみを撤去した。だが、市ジオパークネットワーク推進会の中江忠弘会長(75)の顔は晴れない。「山陰海岸ジオパークは切羽詰まった状況にあるが、市の代表者らにその認識は乏しい」

 山陰海岸ジオパークは2010年に国内4例目として世界登録された。地殻変動や火山活動など日本海の形成から現在に至るまでの地形の変遷が多彩な海岸で楽しむことができる。4年ごとに国内と世界の審査で再認定される仕組みで、地形の保全状態だけでなく、教育や観光につながる設備の充実度なども重視される。

 「ジオパーク内のあらゆるレベルでの連携を欠いており、持続的な運営形態になっているとは言いがたい」。昨年9月末に日本ジオパーク委員会が発表した審査結果には厳しい言葉が並ぶ。各地での活発な取り組みは評価した一方で、各自治体や住民、企業間での活動が連携不足と指摘。「ジオパークを使って地域全体をどうしたいのか。課題を先送りせず早急に解決する必要がある」と改善を求める警告を発した。実際に「茨城県北ジオパーク」は17年に認定取り消しとなっている。

 今夏の世界審査に向け、3府県や関係市町でつくる山陰海岸ジオパーク推進協議会(兵庫県豊岡市)は取り組みを強化している。1~2月に、3府県で情報共有を目的とした住民を交えたステップアップ会議を実施。さらに、ジオパーク館など拠点施設の機能向上や役割分担、同推進協の人事強化などを明確化したアクションプランを3月に策定した。京丹後市もガイド育成や鳥取県でのイベント参加などを進めている。同推進協の秋吉秀剛事務局長(60)は「イエローカードは取り組みの質を上げるいいきっかけになった。今後、エリア内を周遊できるよう横のつながりを強め、ニーズに応じた多様なジオツーリズムを展開していきたい」と力を込めた。

 昨年末に施行された市観光立市推進条例は「山陰海岸ジオパークなど、世界的な展開ができる持続可能な地域を創造する」とうたう。市や市議らは原点に立ち返り、ジオパークをどう活用し、市民とともに地域を育むのか考える必要があるのではないだろうか。


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