台北市内で講演したジミー・ライ氏(右)=新経典文化のフェイスブックページより
(台北 13日 中央社)ネクストデジタル(壱伝媒)グループ(本部・香港)の創業者で、反中共色の強さや民主化運動への資金提供などでも知られるジミー・ライ(黎智英)氏が10日、台北市内で講演を行った。今年70歳になるライ氏は、カネだけの人生はつまらないと述べ、「事業を重んじるなら中国大陸に行くのがよいが、よりよい人生を送りたいなら台湾にとどまるべき」との考えを示した。
台湾では5月初旬、2014年から書きためてきたライ氏のエッセイ集「人生不是名利場」が出版されたばかり。出版社の招きを受けて講演会に臨んだライ氏は、次世代の活躍の場を心配する親の質問に答えて、上記の発言に及んだ。
香港や台湾の事情に詳しいライ氏。台湾について、「あっさり気質の香港と比べ、あいまい」、「八方美人」などと辛口の意見を出す一方で、「楽しく暮らせ、リラックスできる」「生活環境が恵まれている」などのプラス面も挙げた。
また、「冷戦期に米国がベルリンを守ったのは、欧州人の信頼を勝ち取るため」とした上で、「台湾の安全を約束する米国がこれに背けば、アジア諸国の信用を失う」と指摘。そして、「台湾は自国を信じるべき」と述べ、「台湾の未来はこれから」、「中国大陸を恐れることはない」などと強調した。
香港を代表するアパレルブランド、ジョルダーノ・インターナショナルを創業して成功を収めたライ氏。1990年に週刊誌「壱週刊」(ネクスト・マガジン)、95年に日刊紙「蘋果日報」(アップル・デイリー)を創刊してメディア業界に進出した。台湾でも、2001年に「ネクスト・マガジン」、2003年に「アップル・デイリー」を創刊したほか、2010年にはインターネットテレビ局「ネクスト・テレビ」を立ち上げた。中華民国国籍を有する。