日本企業にも影響が出ている
中国当局が外国企業に対し、公式サイトで台湾や香港、マカオ(澳門)が中国の一部であるように表示するよう要求する動きを強めている。中国民用航空局(民航局)は25日、外国の航空会社44社に対してサイトの表示の修正を要求し、すでに18社が修正を終えたと発表した。この動きの影響は日本企業にも出ている。
中国が外国企業に対して「台湾」などの表示についての要求を強めたのは、台湾で2016年に民進党の蔡英文政権が発足したことがきっかけだった。独立志向とみなす民進党政権を揺さぶることが最大の目的と考えてよい。中国が特に問題とするのは、文字部分における台湾関連の扱いや地図だ。それまではさほど厳しく干渉していなかった、英語などの国際向けページに対しても、修正を求めるようになった。
民航局は4月25日、外国の航空会社44社に対して、公式サイトで「香港・マカオ・台湾」を独立国家として扱っていることは中国の国内法と「ひとつの中国」の政策に違反する「誤ったやりかた」として、1カ月以内の修正を求めた。
民航局は5月25日、要求した44社について、18社は修正を完了と発表。残り26社については、技術的な問題を理由に期限延長の申請があったので認めたとした。44社すべてが修正を終えるのは7月25日になるという。
同問題の影響は日系企業にも出ている。最近の例としては、無印良品を展開する良品計画の中国現地法人である無印良品(上海)商業有限公司が、店舗やインターネットで販売した生活雑貨に「MADE IN TAIWAN原産国:台湾」の表示があったなどとして、上海市当局から罰金20万元(約343万円)の処分を受けた。同問題では、製品をいったん日本に運んで梱包などを行っていたことで、原産地を台湾と表示できないとの当局側指摘もあった。
台湾の世論調査では、「私は台湾人であり、中国人ではない」と考える人が「台湾人でもあり中国人でもある」などと考える人を大きく上回る状態が続いている。一方で、早急な独立ではなく現状維持を求める人が圧倒的に多い。さらに、「最終的な統一」を主張する国民党も、一定の勢力を持っている。
一方の中国は、「台湾は中国の一部。統一を目指す」が国是であるが、同主張は必ずしも上からの押し付けではなく、「国民的合意事項」になっているとも言える。そのため、インターネットなどでは台湾内外で活動する「台湾独立派」が激しい敵意の対象になることが珍しくない。