「千年一問鄭問故宮大展」の記者会見に臨むメイデイのアシン(阿信)
(台北 31日 中央社)「東周英雄伝」などで知られる漫画家で、昨年3月に死去した鄭問さん(享年58)を記念する「千年一問鄭問故宮大展」が来月16日、国立故宮博物院(台北市)で始まる。同展のPRアニメーションには、台湾の人気バンド、メイデイ(五月天)のボーカル、アシン(阿信)が楽曲を提供。迫力ある音楽を背景に鄭さんの作品に登場する人物たちが生き生きと動く映像に仕上がっている。その出来に鄭さんの弟子、鍾孟舜さんは「鄭問の精神がよく表現されている。驚いた」と感激を示した。
鄭さんは1990年、春秋戦国時代の英雄たちを描く「東周英雄伝」で日本デビュー。東洋的な水墨画と西洋絵画の技法を融合させた独特のタッチで人気を集め、翌1991年には外国人として初めて日本漫画家協会賞の優秀賞を獲得した。昨年3月、心筋梗塞で死去したのを受け、昨年から記念展の開催に向けて準備が進められていた。同院で漫画家を取り上げた展覧会が開かれるのは初めて。
同展の開催に先駆け、記者会見が29日、台北市内で行われた。会見に出席したアシンは、鄭さんについて、アーティストとして世界レベルの腕を持つと同時に、世界レベルの思想家でもあると敬意を表し、鄭さんの作品「深く美しきアジアMAGICAL SUPER ASIA」を念頭に「非常に深く、非常に美しい」とたたえた。
同展を主催する文化部(文化省)の鄭麗君部長(大臣)は、台湾ではこれまで漫画の成果が軽視されてきたと指摘。鄭さんの作品を故宮で展示することで、「鄭問先生や台湾の漫画に与えられるべき栄光を(彼らに)返したい」と語った。
同展では鄭さんの原画やスケッチ、人物設定の原案、模型など250点余りが展示される。9月17日まで。