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台湾出身の化学者、オウム死刑囚と連名論文 執筆の経緯明かす

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台湾出身の化学者、オウム死刑囚と連名論文 執筆の経緯明かす


杜祖健氏=同氏提供 

(東京 1日 中央社)台湾出身で米国籍の化学者、杜祖健(アンソニー・トゥー)氏が松本、地下鉄両サリン事件などに関わったオウム真理教の元幹部、中川智正死刑囚と連名で執筆した論文が5月21日、日本法中毒学会の学術誌「Forensic Toxicology」電子版に掲載された。論文は、猛毒の神経剤VXを用いた殺人をテーマとし、マレーシアで殺害された金正男氏の死について分析している。杜氏は同月29日までに中央社の取材に応じ、論文執筆の経緯を語った。

杜氏は毒性学や生物兵器、化学兵器の専門家。コロラド州立大の名誉教授を務める。1930年に日本統治下の台北で生まれ、台湾大学の化学科を卒業した後に米国に渡った。オウムによるサリン事件の調査にも協力し、2009年には旭日中綬章を受章している。

中川死刑囚とは日本政府の許可を得て2011年12月から面会を重ね、東京拘置所で14回、今年3月に広島拘置所に移送された後の4月11日に15回目の面会をした。杜氏は、自身が日本語と英語を話せるためか、面会時の中川死刑囚は率直に会話をし、杜氏の来訪を楽しみにしていたようだったと振り返る。昨年秋に中川死刑囚から、自身の経験を社会に役立てるために英語で論文を書きたいと相談され、協力を決めたという。論文の筆頭著者は中川死刑囚。

論文の前半ではオウムが1994年にVXを使い大阪在住の会社員を殺害した事件について記され、後半では金正男氏殺害事件について分析。毒性が低い2種類の物質を顔に塗りつける方法でVXが生成されたと推察した。一方、VXを低温で生成するのは難しいと指摘し、触媒の使用または温度を上げる処理をした可能性についても示された。



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