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京都の観光混雑、分散化向け取り組み 郊外の魅力PR

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京都の観光混雑、分散化向け取り組み 郊外の魅力PR


観光客に製作体験も行う京瓦の工房を見学する京都国際観光活性化協議会のメンバー(京都市伏見区・浅田製瓦工場) 


京都市内の人気観光地で慢性化している混雑を緩和しようと、企業や行政が隠れた見どころを観光客に提案する「分散化」の取り組みに乗り出した。地域経済の活性化と市民生活の調和を図るのが狙いで、郊外エリアの魅力を効果的にPRする方法を模索している。

 5月末、市内のホテルや旅行会社、市などでつくる「京都国際観光活性化協議会」が、観光分散化をテーマにした見学ツアーを実施した。伏見区の桃山・中書島エリアを中心に、近年オープンした黄桜の見学施設やジビエ肉のレストランを訪問。製作体験を提供している和ろうそくや京瓦などの伝統産業の工房、商店街にも赴き、あまり知られていないスポットや地元密着の店舗を探し歩いた。

 2016年のデータでは、京都市を訪れる観光客数は年間5500万人に上る。特に近年は外国人観光客の増加で混雑の度合いが増しており、市が国内観光客を対象に調査した京都観光の混雑に対する「残念度」は16年で15・0%と3年間で4・7ポイント上昇した。市民の間でも、騒音や交通渋滞など「観光公害」に対する不満が高まっている。

 観光客が訪れるエリアの偏りも大きい。16年の京都観光総合調査によると、訪問地別の割合は「京都駅周辺」が51・7%とトップ。「祇園・清水」「嵯峨嵐山」「岡崎・蹴上」が続き、市中心から離れた左京区の大原や右京区の高雄は1~3%、西京区の大原野は0・1%だった。

 こうした実態を踏まえ、市観光協会は本年度の事業計画で観光客の分散化を掲げた。伏見や大原、高雄、大原野などで国内外の観光客を引きつける潜在力を持つ社寺や施設などを掘り起こし、情報発信やツアーの企画に結びつける。

 地域の商店や企業、鉄道会社が、観光客を呼び込もうとする動きも活発化している。

 伏見エリアでは、商店街や酒造組合、京阪電気鉄道などが「伏見観光プロジェクトチーム」を今年1月に立ち上げた。訪日観光客に人気の伏見稲荷大社から、足を延ばしてもらう企画を検討する。

 京阪電鉄の親会社の京阪ホールディングスは、今年5月に発表した長期経営戦略の中で「洛北~伏見・宇治の観光ゴールデンルート化」を提言。子会社の叡山電鉄や京阪電鉄宇治線が一体となり、市中心部からの分散化を狙う。今月8日からはインバウンド向けに叡電と京阪本線の1日乗車券の販売を始めた。

 オンライン旅行会社大手のエクスペディアグループは3月、自社の台湾人向け旅行サイトに、高雄エリアについて紹介する特集ページを設けた。寺社などの観光名所や青もみじの様子などを試験的に情報発信した。

 JTBも、催行する京都関連の全30ツアーのうち、分散化を視野に入れた2ツアーを今春から取り入れた。同社西日本インバウンド部は「人気観光地以外への誘客は、旅に出る前のプロモーションが鍵となる。採算性も考慮しながら、長いスパンで取り組むことで新たなマーケット創出にもつながる」と見ている。
(京都新聞)


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