樂道入作の黒樂茶碗「青山」が国の重要文化財に指定されたことを記念した秋期特別展「三代樂道入・ノンカウ展」が10日、京都市上京区の樂美術館で始まった。赤と黒の樂茶碗を中心に、香合や置(おき)灯籠など、時代を追い続けた道入作品約50点が一堂に並んでいる。
道入(1599~1656年)は二代常慶の長男として生まれ、ノンカウの愛称で親しまれてきた。侘(わ)びを極めた初代長次郎以来の伝統に軸足を置きながら、本阿弥光悦らとの交流で大ぶりで薄造りの開放的な茶碗を作陶、創造性豊かなモダンな作品を残した。
今年新たに重文に指定された黒樂茶碗「青山」は、艶やかな黒釉(ゆう)に萌黄(もえぎ)色の鮮やかな抽象紋が斬新さを際立たせる。同展では、先に重文指定されている赤樂茶碗「鵺(ぬえ)」も出展、幕釉(まくぐすり)が特徴的な黒樂茶碗「烏帽子(えぼし)」や蛇蝎釉(じゃかつゆう)がむらむらと現れた黒樂茶碗「荒磯」なども並んでいる。
訪れた人は、工夫を重ね続けた道入の足跡をたどるように、味わい深い茶碗に見入っていた。11月27日まで、一部展示替えあり。月曜休館(祝日は開館)、有料。