加藤清正が虎皮を贈られたことへの感謝をつづった書状(京都市中京区・京都文化博物館)
虎退治の逸話で知られる戦国武将の加藤清正が、虎皮の贈り物を受けたことへの感謝をつづった書状が、中近世の金工師で豪商だった後藤家の伝来文書の中から見つかった。京都文化博物館(京都市中京区)が寄贈を受けた文書群に含まれていた。同博物館は「虎狩りをした清正が、虎皮を受け取る側で登場している。関連は不明だが、調査を進めたい」としている。
後藤家は、始祖の祐乗(ゆうじょう)が室町幕府8代将軍の足利義政に仕え、刀装具などの金工師として江戸末期まで活躍した。同博物館は5月、京都を本拠にした後藤勘兵衛家の伝来文書約70点を同家子孫から寄贈された。
加藤清正書状は、勘兵衛家が正月の祝いに「虎皮1枚」と大皿を贈ったことへの礼状。清正の花押入りで「祝着」と感謝の意をあらわしている。
清正は朝鮮の役で虎を退治した逸話で知られ、強さの象徴として五月人形や絵の題材にもなっている。同博物館は「逸話の真偽は不明だが、清正は『虎之助』とも名乗っていたとされ、虎皮の贈り物に一定の意図を感じる」と話す。
後藤家は、角倉家や茶屋家とともに「京の三長者」ともいわれた豪商で、寄贈の文書には有力大名との結び付きを示す史料がある。方広寺大仏造営時に伴い大判鋳造を引き受けた際の豊臣家の依頼文、江戸前期の大名茶人小堀遠州との贈答の手紙もあり、調査研究を進めている。
伝来文書は同博物館の特別展「京・後藤家の軌跡」で9月9日まで展示している。月曜休館。有料。