イチジクを皮ごと煮込んだジャムなどの加工品がそろう道の駅
8月下旬の早朝。赤褐色に染まったイチジクが次々と滋賀県栗東市蜂屋のビニールハウスから運び出される。イチジク農家5年目の中井栄緒(まお)さん(29)は「猛暑が続く今年は、大きさは若干小ぶりだが、色づきが良くて甘みは抜群」とする。
イチジクの収穫は7月下旬から始まり、10月上旬まで続く。日差しが照りつける8月にはピークを迎え、毎朝平均約200個を出荷するという中井さんは「収穫しないと実が落ちて害虫が集まる。ほぼ毎日、作業が続きますよ」と汗をぬぐう。
市内の農家が約30年前、栗東いちじく生産組合を発足させ、「栗東いちじく」の名で売り出している。現在は約10戸が農薬の使用をできるだけ減らし、天候に左右されないビニールハウスで育てる。
イチジクは上品な甘さとほどよい酸味が特徴で、粒々した食感がある。手で割ると果汁がじゅわっと滴り、みずみずしい甘さが口の中に広がる。「皮にくすみが無くつやつやしていると、甘みが詰まった証拠。尻の部分が割れていると一層おいしい」と中井さん。
大きいもので約100グラムに成長し、熟せば、持ち上げるとつぶれてしまいそうなほど柔らかい。そのため市場に出回る多くは未熟な段階で収穫されるが、「自然に育った甘みを楽しんでほしい」と、完熟した実を丁寧にもぎ取る。
中井さんは「栗東と言えばイチジクと、市内外の人に実感してもらえるよう作り続けたい」と話した。
早朝に収穫された栗東産のイチジクの多くは、市内の直売所に並ぶ。道の駅「アグリの郷(さと)栗東」(同市出庭)では午前中にほとんどが売れるといい、より多くの人にイチジクを味わってもらおうと加工品がずらりと並ぶ。
イチジクを皮ごとじっくり煮込んで作ったジャムは、甘さが凝縮された定番商品だ。同駅の水野晃男駅長は「ヨーグルトにかけると、甘みが増してイチジクの味がより楽しめる」と太鼓判を押す。
イチジクのピューレを使って焼き上げたパン、ワイン煮、果肉の食感が残るアイスクリームなどもある。収穫直後に冷凍したイチジクを使っており、加工品は年中購入できる。
水野駅長は「栗東で採れたイチジクのおいしさに驚いてほしい」と話す。
(京都新聞)
道の駅「アグリの郷(さと)栗東」
道の駅 アグリの郷栗東
〒520-3041 滋賀県栗東市出庭 961-1
TEL:077-554-7621/FAX:077-554-7622
営業時間:午前9時~午後6時(12月1日~2月末日まで閉店午後5時)
・JR栗東駅下車、タクシーで5分、バスで7分(くりちゃんバス)
・名神栗東ICから国道8号を北へ約3km、宅屋交差点にて一般県道片岡栗東線を西に0.5km、約10分