五世千作さん(左)と「翁」の三番三を務める十四世茂山千五郎さん
狂言大蔵流の茂山千五郎家の十四世千五郎さん(44)と、父の五世千作さん(71)が18日、襲名披露公演を京都市左京区の京都観世会館で開き、京の庶民に愛されてきた「お豆腐狂言」の新時代の幕開けを告げた。
本名の「正邦」から当主の名を継承した千五郎さんは、能楽金剛流宗家の金剛永謹(ひさのり)さん(65)による祝典の曲「翁(おきな)」で「三番三(さんばそう)」を力強く舞った。「靱猿(うつぼざる)」ではシリアスな展開から一転、情にほだされる大名役で、会場を狂言らしいおおらかな笑いで包んだ。
「十三世千五郎」から隠居名を継いだ千作さんは、老女物の大曲「庵梅(いおりのうめ)」を初演し、和歌仲間の女たちと、庭に咲く梅を静かにめでる老尼の哀歓をしみじみと演じた。
千五郎家の狂言師が勢ぞろいしたほか、茂山忠三郎家の良暢(よしのぶ)さん(34)、能楽観世流の片山九郎右衛門さん(51)らも出演し、代替わりの舞台に花を添えた。襲名披露は10月末にかけ、大阪、名古屋、東京でも行われる。