関西電力蹴上発電所の第2期建屋
関西電力蹴上発電所の琵琶湖疏水からの取水口
関西電力蹴上発電所(左京区)が、米国に拠点を置く電気・電子技術者の組織「IEEE(アイ・トリプル・イー)」から産業の発展に寄与した技術をたたえる「マイルストーン」として認定された。日本初の事業用水力発電所で、いまなお現役で稼働。京都市の門川大作市長は今後、発電所と発電用水の琵琶湖疏水を合わせた一帯を、世界遺産の一つ「産業遺産」への登録を目指す。(道念祐二)
IEEEのマイルストーンは、開発から25年以上経過した技術から選ばれる。これまで世界で169件、日本では東海道新幹線など28件が選ばれ、京都市内の施設が認定されたのは初めて。関電の技術では2010年に黒部川第四発電所(富山県)が選ばれている。
蹴上発電所(出力4500キロ・ワット)は、琵琶湖から京都へ水を導く琵琶湖疏水を利用した水路式水力発電所で、1891年(明治24年)に運転を開始した。国内初の市街電気鉄道である京都市電の開通(同28年)にも貢献し、「東京遷都」で人口が激減した京都が復活する原動力にもなった。
蹴上発電所が運転を開始する前年に完成した琵琶湖疏水(全長約35キロ・メートル)は海外の技術者に頼らず、日本人の手で行われた大規模土木事業。疏水は発電だけでなく上水道にも利用されている。過去には船の航路に使われ、最近では2015年春から年2回、疏水下りの観光船が試験的に運航されている。
門川市長は「琵琶湖疏水と蹴上発電所のおかげで、今の京都がある。産業遺産の値打ちは十分にある」と話している。
◇疏水記念館で認定記念展示
琵琶湖疏水記念館(左京区)では、蹴上発電所のマイルストーン認定を記念し、12月4日まで特別展「琵琶湖疏水と京都の水力発電」を開いている。発電所や水路の設計図をはじめ、完成当時の貴重な写真などが展示されている。入場無料。
問い合わせは同館(075・752・2530)。