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観音信仰、湖北移住に期待 東京「祈りとくらし展」3万人超来場

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「観音の里の祈りとくらし展II」


滋賀県長浜市などは今夏、1カ月にわたって東京都台東区の東京芸術大大学美術館で「観音の里の祈りとくらし展Ⅱ」を開いた。期間中、3万284人の来館者があり、湖北地域の観音像や観音文化は首都圏の人々の心をとらえた。今後は、この流れを地元への移住促進にどうつなげていくかが課題となりそうだ。

■長浜市訪問客増へ体制整備

 同展は、湖北に根付く観音信仰の文化を地域振興に生かそうと、長浜市が同大学との共催で2014年春に初めて開いた。今回は、移住や定住を促すことを視野に、国の地方創生関連交付金など約3800万円をあてた。7月5日から8月7日まで約1カ月間開き、42体を展示。期間も数も前回の倍の規模となった。

 医王寺(同市木之本町大見)の重要文化財「十一面観音立像」や観音寺(同町黒田)の重要文化財「伝千手観音立像」など堂外に初めて出された仏像が注目を浴びた。破損仏で「いも観音」として信仰厚い安念寺(同)の「如来形立像」にも人々は見入り、手を合わせた。

 最終日に友人家族と訪れた東京都杉並区の主婦桐山真帆子さん(50)は「村人が守ってきたということがすごい」と話した。埼玉県三郷市の津村久世さん(67)は「一堂にそろっている姿を見られて良かった」と感銘を受けていた。

 市は来場者に対し、▽長浜市を知っていたか▽市を訪れ、観音様にお参りしたいか▽訪れた感想について-といった内容のアンケートはがきの郵送を依頼したところ、23日現在、5191通の返信があった。「集落の人々とともにあるホトケ様の自然な姿を拝観したい」「心が洗われた」「所有されている方々が送り出してくれたことに感謝したい」などと好意的な返答が多かった。共催した同大学の薩摩雅登教授は「人々の暮らしも伝わったと思う」と手応えを口にした。

 長浜市は今春、東京観音展と同じ上野に観音文化を発信する拠点「びわ湖長浜 KANNON HOUSE(観音ハウス)」をオープンした。こうした一連の観音事業を縁に台東区との交流も動き始めている。

 首都圏で一定のPRを果たし、湖北の観音堂を訪れる人は今後、増えるだろう。いかに受け入れる体制を整え、最大の狙いである長浜への定住につなげられるかが今後の課題だ。

 医王寺の十一面観音立像の世話方を務める林正作さん(79)は観音展に足を運んだ。林さんは「東京で多くの方に見てもらい、どのように守られているのか訪ねて来る人もいる。これも観音さんのご縁」と誇りを持って語った。これまで年間400人ほどの拝観者だったが、観音展後の9月だけで拝観の予約は100人を超すという。

 市は今後、観音を巡る旅を調整するコンシェルジュやガイドの育成、案内板の設置など、受け入れ体制の整備を進める考えだ。林さんは「高齢化で先が見えない不安はあるが、お参りする方は喜んでくれている。まず、来ていただくことが次へとつながれば」と語る。観音展を担当した松居雅人総合政策部長は「観音展をきっかけに長浜に興味を持ってもらい、定住してもらうスタートにしたい」と期待を込める。



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