音響ユニット「あわ屋」による「あわいに眠る」(近江八幡市仲屋町中・まちや倶楽部)=左上=
山本基さんの「たゆたう庭」=右上=と作家グループ「サークルサイド」による光の造形
国内外の現代アート作家55組の作品を集めた国際芸術祭「BIWAKOビエンナーレ」が、滋賀県近江八幡市の旧市街に点在する日本家屋などを舞台に開催されている。
■日本家屋生かし繊細美
2001年に大津市で初めて開き、04年から近江八幡市で隔年開催している。総合ディレクターの中田洋子さんは「展示はまず建物ありきで、建物の歴史に敬意を払うことから始まる。展示空間ごと作品として体験してほしい」と話す。
メイン会場となる近江八幡市仲屋町中の「まちや倶楽部(くらぶ)」は元造り酒屋。田中誠人さんの「青のパラドックス」は、酒造りに使われた地下水を回廊式に巡らせ、中央の巨大な水槽に沈む電球の光が空間全体に揺らめく。上のフロアには、泡立ち、渦巻く液体の表面のような模様を塩で細密に描いた山本基さんの「たゆたう庭」が広がる。
音響ユニット「あわ屋」による「あわいに眠る」は、杉やコケで酒蔵を暗く小さな森に変え、ヒョウタンを使ったスピーカーとライトから音と光が漂う。
まちや倶楽部に残る酒樽や冷蔵庫などかつての備品は作品の一部を構成し、会場が持つ酒造りの歴史と作品が有機的に結びつく。古い日本家屋を利用した各会場では、特有の暗さや狭さを器に、造形と音や光を組み合わせてつくり出す繊細な美の空間が広がる。
11月6日まで。午前10時~午後5時。木曜休み。有料。会期中の土曜日と一部の金曜日の午後6時からナイトツアーを行う。また、会場運営や閉幕後の搬出のボランティアを募集している。問い合わせは事務局TEL0748(36)3766。