京都市美術館
老朽化により京都市が大規模改修する市美術館(左京区)を巡り、12月に着手予定の工事の入札が、入札額が事業費を3割も超過する約130億円に上り、不成立になったことが12日、明らかになった。事業費約100億円の半額を賄うとして命名権を導入したが、工事にかかる市の負担分が膨らむ可能性が出ている。
入札不調だったのは、本館の改修と新館を設ける再整備工事。一般競争入札に1企業グループが応じた。今月3日の開札では入札額が129億9800万円で、予定価格(非公表)を上回った。5日の再開札でも、ほぼ同額の129億9千万円が提示された。
12日の市議会決算特別委員会で報告され、市文化市民局の担当者は「100億円規模の金額で随意契約できないか協議している」と説明したが、市議からは「企業が30億円も下げて契約することは通常ない」といった指摘があり、事業計画や工程の見直しを求める意見も出た。予定価格を超過した原因について、市は調査中としている。
市は6日に命名権の売却先を京セラに決めた。企業名導入への批判に対して、市民負担の軽減を狙いに挙げ、理解を求めてきた。今回の入札不調について市は「予定価格は国が示す労務単価などを基に積み上げた。まずは100億円の総額や日程を変えずに改修することを目指し、早期に業者を決めたい」とする。