檜皮葺きのふき替えに向け、周囲にやぐらが組まれる大師堂
京都市南区の東寺(教王護国寺)で国宝大師堂(御影(みえ)堂)の檜皮(ひわだ)ぶき屋根ふき替え工事の準備が進んでいる。全面ふき替えは33年ぶり。年中行事や参拝の安全を図るため、堂内に安置する弘法大師坐像(国宝、鎌倉時代)を移転するなど修理中の参拝対応にも追われている。
境内北西にある大師堂は、弘法大師空海の住房を仏堂にしたとされる。現在は1380年に再建された後堂と、90年に増築された前堂、中門から成る。寝殿造の住房形式を伝えており、1958年に国宝に指定された。現在も毎朝の生身供(しょうじんく)や、弘法大師の月命日にあたる毎月21日に御影供(みえく)が行われ、庶民の大師信仰の中心地となっている。
今回は屋根のふき替えだけでなく、堂内の扉の漆を塗り直し、金具などを修繕する。内装を含めた修理は61年ぶりとなる。周囲ではやぐらが組み上がっていく様子を、参拝者らが見上げていた。
工事中は、長年のほこりや護摩法要で生じたすすが堂内に立ちこめるため、秘仏の不動明王坐像(国宝、平安時代)以外の仏像や仏具を運び出した。御影供などは周辺の大日堂や仮御影堂で行っている。
修理は2019年末までの予定。