洛外図屏風が展示されている秋季展
京都宇治市宇治の平等院ミュージアム鳳翔館で、部屋の間仕切りや目隠しに使われる調度品に焦点を当てた秋季展「荘厳華麗、屏障具(へいしょうぐ)の美」が開かれている。江戸時代の宇治や伏見の様子を描いた洛外図屏風(びょうぶ)が初公開された。
■修理終えた中国・明代の漆絵衝立も
平等院塔頭の浄土院が所蔵する洛外図屏風は江戸時代に手掛けられた六曲一双の作品。平等院は右端上部に描かれ、鳳凰堂や平安時代の武将・源頼政が自刃した扇の芝、北門の焼け跡が見て取れる。
今はない北門は楠木正成が1336年に平等院を焼き打ちした際に難を免れたが、1698年の宇治大火で焼失。屏風は木組みだけが残る生々しい姿を伝え、「北門跡が描かれている図は珍しい」(平等院)という。
洛外図屏風には万福寺(同市五ケ庄)や伏見稲荷大社、御香宮神社(いずれも京都市伏見区)も描かれ、往時を表す。
秋季展では1年半かけて修理した中国・明時代の漆絵衝立(ついたて)(17世紀)も展示。松竹梅や賢人が色漆や螺鈿(らでん)で丁寧に表現された。平等院の神居文彰住職は「明の時代は中国で漆の技法が完成された時代です」と話している。
秋季展は来年1月9日までだが、洛外図屏風の展示は11月下旬まで。入場には平等院の拝観料(大人600円)が必要。