学問の神様・菅原道真(845~903年)をまつる北野天満宮(上京区)で3日、水辺で詩を詠む平安貴族のたしなみ「曲水の宴えん」が再現される。道真が和歌や漢詩に優れていたことにちなみ、同宮では境内に小川を整備し、〈1100年ぶり〉に平安時代の風情がよみがえる。
曲水の宴は、詠者が庭園の川べりに座り、上流から流した盃さかずきが手元に来るまでに即興で詩を詠む行事。古代・中国で始まり、平安時代に盛んに催されたが、武家社会になって廃れた。当時を再現したものとして、城南宮(伏見区)や上賀茂神社(北区)の曲水が知られる。
道真は宇多天皇の曲水に何度も招かれ、御所などで様々な詩を残した。北野天満宮では近年、国宝絵巻「北野天神縁起」などに描かれた境内図や古儀の復興に取り組んでおり、昨年、道真の屋敷だった紅梅殿の周辺に石敷きの小川を造り、湧き水を引くなどした。
今回の曲水では、華道未生流笹岡の笹岡隆甫りゅうほ家元や書家の川尾朋子さんら8人が詠者を務める。詠者は平安装束に身を包み、男女2組に分かれ、小川のほとりに着座し、男性が漢詩、女性が和歌を短冊にしたためる。詩は紅梅殿の上で男装した女性が舞う「白拍子」に合わせて詠み上げられる。
有料のチケットは既に完売。同宮の橘重十九たちばなしげとく宮司は「当時と同じように和歌に加え漢詩でも行うのは画期的な試み。多くの人に平安時代の雰囲気を感じてほしい」と話している。