完成した屏風絵にサインを記す松井さん
フランスで半世紀にわたって活動を続け、2003年に同国の最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を授章した画家松井守男さん(74)が、京都市左京区大原の三千院に屏風(びょうぶ)絵を納めた。5日に同院で絵に自身のサインを書き入れて、僧侶や訪れた参拝者らとともに完成を祝った。
松井さんは愛知県豊橋市出身。武蔵野美術大(東京都小平市)を1967年に卒業後、フランスに渡り、以後、同国を活動の拠点にしてきた。
渡仏して来年で50年の節目を迎えるに当たり、「芸術への理解が深く、世界を代表する観光都市の京都で作品を展示したい」と、三千院に屏風絵、宝泉院(左京区)と上賀茂神社(北区)には襖(ふすま)絵の作品提供を申し出た。
三千院に納めた屏風絵は「両界曼荼羅(まんだら)」。油絵用キャンバス(縦約1メートル、横約1・3メートル)を8枚つなぎ合わせた大作で、絵の具を薄く塗り重ねた透明感あるタッチが特徴。作品全体で仏の世界と人間の世界のあり様を表現した、という。
絵にサインした松井さんは「世界の京都で集大成を展示できて、うれしい」と喜びを語り、三千院の堀澤祖門門主も「新しい名物になるのでは」と期待を寄せた。屏風絵は今後、同院の客殿に展示され、参拝者らに公開される。