左から陳建仁副総統、蔡英文総統、黄重諺総統府報道官
(台北 31日 中央社)蔡英文総統は31日、福島など5県産食品に対する禁輸措置について、「国民の健康を守ることが基本原則」「時間表や切迫感はない」と述べ、規制の緩和を急がない考えを示した。蔡政権は国民の理解を得るため11月から台湾各地で公聴会を開いているが、野党・国民党など反対派が激しい抗議活動を展開している。
蔡総統はこの日、陳建仁副総統らとともにメディアとの茶話会に出席し、今年最後の談話を発表。5月の就任以降の各分野での実績や来年に向けた抱負などを語り、メディアからの質問に答えた。
両岸(台湾と中国大陸)関係について蔡総統は、今月下旬に中国大陸初の空母「遼寧」が台湾沖を通過したことなどを念頭に、北京当局が台湾に対する分断、圧力、恫喝という以前の路線に逆戻りしつつあると指摘。こうした行為は台湾の人々の感情を傷つけ、関係の安定にも影響を及ぼしていると警告した。その上で、「我々の約束と善意は変わらないが、圧力には屈しない」と改めて強調した。
また、蔡総統が来年1月の中米訪問において、経由地の米国でトランプ次期米大統領の関係者らと会談するとの憶測が出ていることに関しては、「経由は経由でしかない」と回答。米国側との接触は、人々が想像しているような厳粛、正式なものではないと語った。
蔡総統は今月2日、トランプ氏と電話で会談。中華民国(台湾)の現職総統と米国の次期大統領の電話会談が公になるのは、1979年の断交以来初めてだった。
このほか、26日に同性婚を合法化する民法改正案が立法院(国会)司法法制委員会を通過したことについては、これまでは衝突期だったが次は対話期だと述べ、人々に対話を呼びかけた。法案が成立すればアジア初となるが、賛成・反対派双方による大規模なデモのほか、立法院への乱入騒ぎなども起きている。