京都駅南口(八条口)近くの路上でタクシーが客待ちする状態を解消しようと、京都市は今春、約2・4キロ先の待機場から順次、タクシーを送り出す「ショットガン方式」を導入した。駅周辺の渋滞解消などに効果が表れつつある一方、新たに乗り入れ料金の徴収を始めたことから、敬遠するタクシー運転手も増えており、運用面での懸念もある。
◆周辺の渋滞解消
市によると、八条口のタクシー乗り場には66台が待機可能だったが、入りきれないタクシーが路上駐車し、周辺の渋滞の原因となっていた。このため、市は乗り場を約120メートル西に移設し、乗り入れ数を51台に制限。同時に、阪神高速・鴨川西ランプ(南区)付近の公有地に60台分の待機場を新たに整備した。
利用は、事前に市に登録し、専用のICタグを搭載したタクシーに限定。駅乗り場からタクシーが1台出ると、待機場のゲートが自動で開く。待機場から来た車両かどうかは、駅乗り場のゲートで、ICタグの通過履歴から確認できる。
導入当初から乗り入れをしている個人タクシー運転手・河本省三さん(60)は「駅周辺での路上駐車など違法な客待ちもなくなった。観光都市の玄関口として、いい仕組みになった」と歓迎する。
◆利用料ためらい
ただ、乗り入れには1回ごとに20円の利用料が必要な上、待機場から駅乗り場までの移動に約15分もかかることから、躊躇ちゅうちょする運転手も多い。従来は休日など多い日で1日延べ約2000台が乗り入れていたが、4月時点の登録台数は1600台程度にとどまっているという。
八条口でよく客待ちをするという50歳代の男性運転手は、「京都駅からは、観光客が近くの宿泊先まで乗るワンメーター利用も多く、利用料がかかると採算が合わない」と漏らす。
市歩くまち京都推進室の担当者は、「システムの維持管理のためにも利用料徴収は必要だが、一定の登録台数は必要。現場の声も考慮しながら、ドライバーと利用客双方の利便性が高まるよう、課題を検証していきたい」と話している。