京都市左京区の吉田神社は、立春を迎える神事の火炉祭を従来の形に戻し、今年から再び、大量の古いお札やお守りを境内で焚(た)き上げる。昨年まで2年間は古札に点火しない方法で実施したが、氏子や参拝者から復活を求める声が相次いだ上、課題となっていた焼却灰の処理にもめどがついた。節分の2月3日深夜、3年ぶりに境内に大きな火柱が上がる。
火炉祭は大量の古札を焚き上げる神事で、深夜にもかかわらず大勢の参拝者でにぎわっていた。ところが、2015年と16年は、焼却灰の処理方法を巡って京都市と折り合わず、大規模な焚き上げを中止。神社は古札に直接点火せず、古札の神を紙で作った御幣(ごへい)に集める神事をした後、その御幣を燃やす行事に切り替えていた。
この2年間に、室町時代から続く伝統行事を絶やしてはいけないという意見が多数寄せられたことに加え、焼却灰を産業廃棄物として処分することが可能となったことから、復活を決めたという。
節分の深夜に行う火炉祭は、室町時代に全国の神々をまつる境内の大元宮前で実施したのが始まりで、古札を燃やしてお札に宿る神々に帰ってもらい、年の厄をはらって立春を迎えるとされる。
今年は従来通り、境内に深さ1メートルの穴を掘り、高さ5メートル、直径5メートルの円筒形の火炉を設ける予定で、火の粉の飛散防止のために金網で囲う。20日ごろに完成する。2月2日夜に追儺(ついな)式(鬼やらい神事)があり、3日午後11時から、火炉祭を行う。古札を持ち込む際は、再利用可能な紙袋は取り外し、社務所に預けるよう呼び掛けている。