2017年1月17日、季節感にまつわる日本人の細やかで豊かな感受性は、俳句などを通じて世界にもよく知られている。この感性は遠い時代の話だけではなく、現代のJ−POP、特にラブソングに脈々と受け継がれている。以下は、台湾のネットに掲載された記事。
歌詞の世界に四季を織り込んだJ−POPの楽曲は無数にある。中でも、春について歌うものは最も多いだろう。歌詞に「桜」が登場する楽曲の多いこと。日本人にとって「春=桜」といっても過言ではない。
日本人にとっての春は、特別な心象を持つ季節だ。春は、いのちの誕生、離別、そして同時に物事の始まりをも意味している。日本では4月に年度をまたぐため、自然界と社会のサイクルが重なる。春には終わりと始まり、別れと出会いが幾重にも交錯するのだ。そして、卒業の歌、別れの歌などが桜とともに描かれる。「毎年、桜を見るたびにあなたを思い出す」といったように。
夏の歌で最も多く登場するのは「海」「花火」だろう。特に花火は日本独特の風物だ。夏には全国津々浦々で花火大会が開かれる。花火大会は恋人たちにとって夏のイベントの目玉。異性を花火大会に誘う、異性と一緒に花火大会に行くのは互いに特別な好意を抱いている印だ。そこで、「あの時、あなたと見た花火」といった歌が生まれる。
夏は幸せ、若さ、エネルギーなどを象徴する歌が多く、また思い出と結びつくイベントが多い。J−POPに登場する「あの夏」という歌詞は、「あの春」「あの秋」「あの冬」よりも圧倒的に多いだろう。
秋は、J−POPの世界では比較的存在感の薄い季節かもしれない。もちろん、桜と同様に紅葉を愛でる風習はある。だが、紅葉は、桜のようには多くの含みのある風物ではないようだ。
冬はもちろん、「雪」が主な題材になる。厳しいシーズンだが、恋人たちにとっては寄り添い、互いを暖め合い、距離を縮めることができる季節だ。以前ほどではなくなったが、クリスマスも恋人たちにとっては特別なイベントである。(翻訳・編集/愛玉)
■愛玉プロフィール
中国語翻訳者、ライター。 重慶大学漢語進修課程で中国語を学ぶ。