総ヒノキ造りと考えられていた平等院(京都府宇治市)の鳳凰堂の一部にコウヤマキが使われていたと平等院が3日発表した。平安期から室町期にかけての大型建物での使用例はほとんどなく、京都大などの共同研究チームは「建築用材の変遷を知る上で貴重だ」としている。
コウヤマキは日本だけに分布する常緑針葉樹。耐水性があり、奈良期までの建物に使用されていたが、枯渇でヒノキが使われるようになったとみられている。
研究チームは、明治後期の修理で取り外された古材3点(長さは1・2~2・6メートル、幅は24~28センチ、厚さ1・6~3・5センチ)の木片を顕微鏡で調べた。うち1点がコウヤマキと判明し、年輪年代測定法などで、少なくとも建立時に近い1040年まで生育し、その後伐採されていたことも分かった。
部材は、屋根の下地の「野地板」として使われていたとみられている。一部が斜めに切削されており、瓦を支える「土止め」の役割で使われていた可能性もあるという。