千年忌法要を勤める森川天台座主(左端)ら
天台宗(総本山・延暦寺、大津市)の森川宏映(こうえい)座主(91)が14日、京都市下京区の西本願寺で、平安時代に日本の浄土教の基礎を築いた僧侶恵心僧都源信(942~1017年)の千年忌法要を営んだ。天台座主が導師として西本願寺で法要を営むのは史上初。両寺院から10人ずつ僧侶が出仕し、阿弥陀経や念仏を共に唱えた。
源信は、延暦寺のある比叡山の横川(よかわ)地域を拠点に浄土教を研究。その主著「往生要集」は、後に比叡山で学んだ浄土宗の宗祖法然(1133~1212年)、浄土真宗の宗祖親鸞(1173~1262年)に大きな影響を与えた。一方で、鎌倉時代や室町時代には、延暦寺は法然の墓や当時の大谷本願寺を破壊するなどした歴史がある。
森川座主は、西本願寺の大谷光淳(こうじゅん)門主(39)と懇談後、午後2時半から、源信の絵像が掲げられている阿弥陀堂で法要に臨んだ。参拝者約千人が見守る中、森川座主が本尊の阿弥陀如来立像の前に着座すると、延暦寺僧侶による声明が響き渡った。両寺院の僧侶は紙製の花をまく散華をしたり、よく似た節回しのお経を唱えたりして源信の遺徳をたたえた。
17日には、東山区の浄土宗総本山・知恩院で、森川座主が源信の千年忌法要を営む。