親族をかたるオレオレ詐欺など特殊詐欺被害が相次ぐ現状を受け、京都府警は新年度から、犯人側の電話番号に自動で電話をかけ続け、使えなくする「集中架電システム」の運用を始める。昨年の被害額で試算した場合、システム導入で2割弱(約1億2千万円)の減少が見込めるという。府の新年度予算案に運用費など約1080万円を盛り込んだ。
同システムは、警察が把握した詐欺グループの電話番号を入力すると、常に通話状態になるよう府警本部からすぐに犯人側に架電し続ける仕組み。着信拒否ができないよう多数の発信番号で繰り返し電話し、犯人側が電話に出ると、警察と告げた上で、出頭を要請するなど音声で警告する。
警察庁は2015年8~12月、北海道警で試験的に同様のシステムを導入した。道警が期間中に特定した犯人側の84の電話番号にかけ続けた結果、62の番号が解約された。同年の被害額は、システム導入後の下半期(7~12月)は約3億円と上半期から半減し、「一定の効果が認められる」(警察庁)という。
府警の説明では、昨年に確認された府内の特殊詐欺の被害総額は約7億4千万円。高齢者など被害者に寄せられた電話やメールは計2071回に上る。
そのうち、約120の番号は、府警が把握した後も293回にわたって犯行に使われ、約1億2400万円の被害につながったといい、府警は「システムを導入していれば、この被害分は未然に防げた」としている。
府警によると、今年の被害は2月末時点で36件約4960万円(前年同期比約1800万円増)という。府警刑事企画課は「システム導入と併せ、無人ATM(現金自動預払機)の巡回を増やすなどし、対策を強化する」としている。