綾部市睦寄町にある真言宗光明寺の国宝・二王門が約60年ぶりに修復されることになった。同寺は檀家だんかがなく、修復費の地元負担分を捻出できないため、市などはインターネット上で寄付を募る「クラウドファンディング」を活用。関係者は「修復を機に、二王門を観光地としてPRし、地域振興につなげたい」としている。
光明寺は、市東部の君尾山(543メートル)中腹にある。市によると、平安~鎌倉時代に栄えたが、戦国時代にたびたび戦火に見舞われ、本堂から約300メートル離れた二王門を残し、全て焼失したという。
1950~52年に行われた解体修復の際、柱から「宝治二年」(1248年)の墨書銘などが見つかり、鎌倉時代の再建と判明。丹に塗りに栗の木を使ったとち葺ぶきで、屋根が2層になった二重門の建築様式は貴重とされ、54年に国宝に指定された。
ただ、修復から60年以上が経過し、丹塗りが剥げたり、屋根がめくれたりするなど劣化が目立つようになり、市と光明寺は国、府と再修復を協議。今年から3年をかけて屋根の葺き替えなどを行い、創建時の姿を取り戻すことを決めた。
修復費1億6000万円のうち85%は国から補助を受けられるが、残りの15%(2400万円)は所有者である光明寺の負担となる。市は地元の経済、観光団体などとプロジェクトチームをつくり、ネット上で寄付を募るほか、見学会やPRイベントを企画するなどして支援していく。
二王門は府北部の建造物では唯一の国宝だが、知名度は今ひとつ。市資料館の三好博喜館長は「修復をきっかけに認知してもらい、来訪者が増えてほしい」と期待する。
光明寺の楳林誠雄住職は「皆さんの協力は本当にありがたい。傷んだ門が往時の姿を取り戻すのが楽しみ」と話している。