最終調整している京都府警本部本館
文化庁の京都移転で、文部科学省が京都府警本部本館(京都市上京区)を移転先とする方向で府と調整に入ったことが30日、分かった。府庁に隣接する立地に加え、JR京都駅とのアクセス面も考慮したとみられる。文科省は「全面的移転」では、文化庁長官と次長1人を含む職員の7割(250人程度)を京都に常駐させる方針で、府は府警本部本館の増改築を検討している。
移転先は、政府と京都側でつくる移転協議会が昨年12月、府警本部本館のほか、元安寧小(下京区)、京都国立博物館(東山区)の本館または旧管理棟・資料棟、旧京都地方合同庁舎(中京区)の4カ所に絞り込んでいた。
関係者によると、文科省は今月、府警本部本館への移転を府に打診したという。伝統文化や文化財保護を担う府や府教育委員会と連携しやすい上、庁舎の整備費が比較的安く、京都御所に近い文化的環境も優位に働いたとみられる。
京都の本庁には職員の7割が配属され、長官直属の企画部門を置くほか、日本文化の戦略的発信、地域の文化資源を生かした観光振興、食文化など生活文化の振興、科学技術を活用した文化創造などの部門を設ける。
一方、国会対応のほか、外交や著作権関係、他省庁との連携に関わる業務は東京に残す方針で、東京側の人員は新たに増やす次長1人を含め110人程度となる見通し。
1927年完成の府警本部本館は築90年と古く、府が耐震補強や改修工事を実施する。約250人の職員が入るには手狭との指摘もあり、増改築も視野に入れる。今後は地元の費用負担の在り方が焦点となる。
移転時期については、府と京都市は東京五輪をにらんで2020年夏までの移転実現を求めているが、文科省は改修工事に時間がかかるとみており、21年以降にずれ込む可能性もある。
政府は今年8月末をめどに庁舎の場所を確定させ、来年の通常国会に文科省設置法改正案を提出する方針。