マンションに飾られていた布袋山のご神体
祇園祭の休み山の一つ「布袋山」(京都市中京区)のご神体などの所有権をめぐって、地元でトラブルになっている。地元の姥柳町内会はご神体の展示や飾り付けを委任していた元町内会長の男性と会計処理や物販などでもめ、委任を取り消した。さらに町内会は昨夏、京都地裁に返還の仮処分を申し立て、一部が返却されたが、男性は一般社団法人「祇園祭布袋山保存会」を昨秋設立し、所有権を主張して京都地裁で係争する事態となっている。
訴状などによると、2004年、姥柳町の町内総会でご神体を展示し祇園祭の期間中に飾り付けを行う権限を男性に委任、ご神体などを預けた。当初の想定では町内のマンション1階に展示し飾り付けするだけだったが、男性はちまきなどの物品も販売するようになった。
観光客が押し寄せるようになり、マンション住民から苦情が寄せられたため、町内会は男性に販売中止などを訴えたが、聞き入れられず、15年春に町内総会の決議で委任を取り消した。だが、男性はご神体などを返却せず、物品販売などを続けた。ご神体をめぐっては、昨年7月に京都地裁が引き渡しの仮処分を決定し、御厨子やつり灯籠(どうろう)などとともに差し押さえられた。町内会は昨秋、残りの版木や朱印などの引き渡しを求め、同地裁に提訴している。
一方、男性は昨年10月に一般社団法人「祇園祭布袋山保存会」を設立し、代表理事に就任。新たに保存会として、ご神体などの所有権を主張し、引き渡しを町内会に求めている。
■布袋山
江戸時代に天明の大火(1788年)で焼失した。祇園祭の山鉾巡行に参加できない「休み山」となっている。ご神体は布袋像で、高さ約25センチ。