(蟷螂とうろう山)
祇園祭・前祭さきまつりの山鉾やまほこ巡行が行われた17日、鮮やかな懸装けそう品をまとった23基の山鉾が、京都市中心部の四条通や御池通を力強く進み、古都の夏を彩った。今年は巡行が日曜と重なったこともあり、沿道には昨年の3倍近い19万人の見物客が詰めかけ、日本を代表する伝統行事に酔いしれた。
山鉾巡行は、八坂神社(東山区)の神輿みこしが市中を練る神幸祭(17日)と還幸祭(24日)の露払いとして行われる行事。京都市の主導で長らく前祭に一本化されていたが、祭を本来の姿に戻そうと、2年前に後祭が復活した。
この日、市中心部では小雨が降ったが、巡行開始の午前9時頃にはやみ、各山鉾は次々に雨よけのビニールを外して出発。昨年は台風が接近し、シンボルの可動式カマキリの飾りを付けずに巡行に臨んだ蟷螂とうろう山は、2年ぶりに本来の姿を見せた。道中で、カマをもたげたり、羽を開いたりするカマキリに、沿道の子供たちから歓声が上がった。
同山保存会の村林利高会長(48)は「今年も天気が優れず心配だったが、無事に動かすことができホッとした」と話した。
午前9時40分、先頭の長刀なぎなた鉾が四条河原町に到着し、「辻回し」を披露。函谷かんこ鉾や月鉾など大型の山鉾も続いた。家族3人で訪れた右京区の会社員、田辺亮さん(47)は「これまでタイミングが合わず、ようやく休日に合って見に来られた。動く鉾のきしむ音は迫力があった」と笑顔を見せた。
この後、各山鉾は河原町御池から御池通を西に進み、終着点の御池通新町に次々と到着。午後1時40分に放下ほうか鉾が最後に辻回しを行い、前祭の巡行が終了した。