修復のため阿弥陀堂内陣から取り外された、波の絵が描かれた天井
京都市下京区の西本願寺(浄土真宗本願寺派本山)は28日、阿弥陀堂、唐門、飛雲閣(いずれも国宝)の修復工事の一部を、報道関係者に公開した。計約12億円かけて2022年までに阿弥陀堂の天井画の修復や飛雲閣の屋根をふき替える計画で、9月下旬には足場を組んで作業中の飛雲閣を市民に特別公開する。
修復は7月に始まった。1760(宝暦10)年に建築された阿弥陀堂の内陣の天井画は、約190枚を取り外して修復する。90センチ正方の天井画には幾何学模様や波の絵が描かれている。今年は内陣北側にある約50枚が対象で、剝落止めと、絵の具が剥げ落ちた部分を補う「補彩」を施す。
桃山時代の豪華な彫刻が施された唐門は、檜皮(ひわだ)屋根をふき替え、漆や彩色を塗り直す。
飛雲閣は、金閣、銀閣とともに京都三閣と称される。3層の楼閣建築で、池から舟で室内に直接入る「舟入之間」を備える。今回はこけら屋根をふき替え、耐震補強も行う。
28日は、作業の本格化を前に修復開始式が行われた。僧侶や修復工事にかかわる業者らが阿弥陀如来像に静かに手を合わせた。西本願寺の本多隆朗執行長は「時代を越えた輝きを全国の参拝者に見てもらいたい。無事に工事が終わるよう念願したい」と話した。
秋の彼岸にあたる9月20~24日に飛雲閣を特別公開する。足場を組んだ状態の外観を見学できる。内部の拝観や写真撮影は不可。入場無料だが、文化財保護基金への募金を受け付ける。本願寺派075(371)5181。