直方体の箱に螺旋を施した作品
木漆工芸の美を極めた黒田辰秋(1904~82年)の世界を紹介する「京の至宝 黒田辰秋展」(京都新聞など主催)の内覧会が1日、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開かれた。
祇園に生まれた黒田は、造形力に富んだ独創的な仕事を続け、重要無形文化財保持者(人間国宝)となった。同館20周年記念となる同展は、初期から晩年まで約90点を紹介する。
つややかな拭漆(ふきうるし)の椅子は、映画監督の黒澤明が依頼した逸品で、重厚な存在感を放つ。京の老舗が愛蔵してきた螺鈿(らでん)八角菓子重箱、自然の木目や直線を生かした家具類、きらめく螺鈿で器体を覆った飾筺(かざりばこ)などに、招待客は見入っていた。
特に、赤漆の四角い箱の表面に螺旋(らせん)の文様を施した作品について、同展監修者の青木正弘さんは「直方体と球体が合体した作品」と発想の斬新さを評した。2日から10月9日まで。有料。