長寿を願う重陽の節句の9日、京都市北区の上賀茂神社で子どもたちが相撲を奉納する「烏(からす)相撲」が行われた。さわやかな秋晴れの下、全力でぶつかり合う男児たちの勇姿に見物客が温かい拍手を送った。
本殿にキクの花を供える神事に続き、細殿(ほそどの)前に設けた土俵にふんどし姿の男児が集まった。白装束の氏子2人がカラスのようにピョンピョンと横飛びし、「カーカーカー」「コーコーコー」と鳴きまねをした後、取り組みが始まった。
二手に分かれた男児はがっぷりと四つに組み合い、力一杯押したり、豪快に投げたりした。勝負が決まるたびに歓声が上がり、見物客は相撲の後に振る舞われた菊酒も楽しんだ。
烏相撲は、神社祭神の祖父が八咫烏(やたがらす)に姿を変えて神武天皇の東征を先導した故事にちなむ。後に五穀豊穣(ほうじょう)を願う相撲の奉納と結びついたとされ、平安時代に儀式化された。