佛教大の学生と高雄中の生徒が絵付けした風鈴で彩られている高雄橋のたもと
春と秋に集中していた京都市内の観光客数は、閑散期のイベントや年間を通じた外国人観光客の増加により、季節による差は縮まってきている。ただ、最近のにぎわいは交通が便利な市街地と周辺の名所に偏り、郊外では知名度の高い観光地でも集客に頭を悩ませている。
市の2016年調査で日本人観光客に訪問エリアを聞いたところ、清水寺や祇園周辺が5割、嵯峨嵐山が3割近くを占めた。外国人には具体的な場所を聞いており、清水寺や二条城、金閣寺、伏見稲荷大社が上位に並んだ。一方、大原・八瀬は日本人調査で3・1%、高雄は1・6%にとどまる。いずれも知名度は高いが、外国人調査では上位25カ所に入らなかった。
「市内の中心の方で紅葉のライトアップが広まってから、高雄まで来る人が減った」。高雄保勝会の会長、山本信さん(67)はそう感じている。紅葉の名所、高雄でも05年秋からライトアップをしている。「一昨年は雨で人が少なかったが、昨年は特にマイナス要素がなかったのに、増えなかった」と首をかしげる。
紅葉以外の高雄の魅力をPRする取り組みは以前から試行錯誤を続け、2年前からは京都への観光客が多い台湾で、同じ地名の高雄市との交流を始めた。昨年からは佛教大の地域活性化プロジェクトと連携し、今夏は清滝川に架かる高雄橋のたもとに、学生と高雄中の生徒らが絵付けしたガラス風鈴が並んでいる。
地域の努力が続く一方で、神護寺や西明寺に続く道の周辺に駐車し、清滝川の河原でバーベキューをする人が急増しており、夏の川床の風情にもかかわる問題として対応に苦慮している。「バーベキューをしに来てはいけないとは言えないが、限度がある。やはり高雄は歴史と文化、豊かな自然でPRしたい」。山本さんたち地元の模索は続く。