住民要望に基づき運行されている京阪バスの「くるり山科」。
京都市の11行政区で唯一、市バスが走っていない山科区で、住民要望により運行されている京阪バスの2路線が、10月から1本ずつ増便される。市の民間バス支援制度が初適用され、格差是正に向けて動きだした。住民は「率先して乗車し、地域の足を守りたい」と喜んでいる。
山科区では1997年の地下鉄東西線開通に伴って市バスが撤退。その後、東西線は右京区の太秦天神川まで延伸したが、右京区では開通を機に新路線が運行されるなど市バスが逆に充実し、山科区民には「不公平」との不満が根強く残る。市議会の要望を受け、市は本年度、住民と連携して利用客増を図る周辺地域の民間バス会社を対象とした補助制度を創設していた。
増便は、山科駅と西野学区を巡回する「くるり山科」、同駅と鏡山学区を結ぶ「鏡山循環バス」。くるりは1日13本になり、山科駅発の終バスを40分延長して午後6時発を新設。鏡山は1日3本に増やし、山科駅午後0時4分発を新たに運行する。
京阪バスには車両調達費など年最大900万円が補助される見通し。田中弥取締役(52)は「地元のご努力で、乗客は順調に伸びている。運転士不足などの課題はあるが、住民と連携を深め、利便性向上に努める」という。
西野学区自治会連合会の中嶋恵二会長(69)は「終バス延長で通勤通学客の利用が期待できる」、鏡山学区自治連の岩崎泰大会長(69)は「住民の努力が認められた。さらに増便されるよう、活動を活発化したい」と話す。