居合道で使う模擬刀について説明を受ける外国人客
日本を訪れる外国人観光客から、剣道や居合道といった武道が人気を集めている。京都市内の武道具店は来店客が増え、剣道の防具を着けるのに使う手ぬぐいや竹刀などが売れ筋に。剣道の夜間稽古が開かれている施設は見学者が絶えず、「サムライ」の流れをくむスポーツへの関心の高まりを映している。
上京区や左京区で武道具店を経営する東山堂(上京区)では近年、外国人客が目に見えて増えたという。同社広報課の木村真里子さん(31)は「観光地に近い左京区の店は以前から多いが、上京区の店もこの5年間で2~3割増えた。訪日ブームに加え、武道人気そのものも海外で高まっている」と背景を分析する。
母国で日本武道を習う人は自分の道具を買い求め、未経験者はお土産として家紋をあしらったステッカーや竹刀、手ぬぐいを購入することが多いという。居合道を学んでいるニュージーランド人の大学生ザック・ヘルナンデスさんは、左京区の店で道着を注文。「京都観光に合わせて仕立てに来た。地元の店より本物という感じがする」と喜んだ。
京都府剣道連盟が左京区の武徳殿で開いている夜間稽古には、外国人の見学者が少ない時で数人、多い時で十数人訪れる。同連盟の三好浩高事務局長は「この1年ほどで特に増えた。個人客がふらりと来ることが多いが、旅行業者に連れられて団体で来る場合もある」と話す。
フランス人のエロディー・ドマンジェさんとシャルル・ルカスさんは9月上旬、同国人のブログを読んで興味を持ち、京都観光のついでに武徳殿を訪問。稽古の様子を熱心に見つめたり、スマートフォンで動画を撮影したりしていた。
中国武術を習っているルカスさんは「印象深かったのは、攻撃の準備と一瞬の集中力を可能にしている競技者の心構え。習得するために、実際に剣道をやってみたい」と感想を語った。