真新しい龍頭を取り付けて巡行する大船鉾
復活して3年目を迎えた祇園祭・後祭(あとまつり)の山鉾巡行が京都市内で行われた24日、巡行の掉尾(とうび)を飾る大船鉾は新調した木彫の龍頭を取り付けて巡行に臨んだ。150年余りの時を超え、威厳ある龍の勇姿が都大路によみがえった。
龍頭は高さ約2メートル、重さ約220キロ。米原市の彫刻師森哲荘さん(69)らがヒノキを主体に作り上げた。幕末に「禁門の変」の影響で焼失した大船鉾は、それまでの巡行では大金幣(きんぺい)と龍頭を1年交代で船首に設置していた。2年前に大船鉾が復活してからは焼け残った大金幣を使っており、龍頭を付けての巡行は少なくとも152年ぶりとなる。
出発前に大船鉾の龍頭が新町通から御池通へ現れると、観衆から大きなどよめきが起こった。見せ場の「辻(つじ)回し」では、にらみをきかせた龍の船首が少しずつ向きを変え、沿道の歓声を誘った。四条河原町で迫力ある姿を見た兵庫県丹波市の依藤寿音さん(12)は「すごくきれいで、すごい作りです。重い鉾をよく動かせるなと思いました」。
巡行を終えた四条町大船鉾保存会の林邦彦理事長(64)は「昔の方々が出していた龍頭を、復活から3年目にして私たちでまた出せたことはうれしい限り。みなさんの協力あってのこと。感動しました」と話した。