保存修復で見つかった葉の絵
世界遺産・二条城(京都市中京区)の大広間を彩る重要文化財の障壁画に、人目に触れない葉が描かれていたことが分かった。畳に隠れた位置で、絵を描いた紙の上に、金箔(きんぱく)を施した紙が貼られていた。学芸員たちは「誰が何のために描いたのか、手がかりが一切ない」と、首をかしげている。
将軍が大名らと対面するために座る「一の間」の「松錦鶏(きんけい)図」。3代将軍徳川家光(1604~51年)が城を大改修した際、狩野探幽が描いたとされる。
昨年度の保存修理で、障壁画最下部の細長い板に貼られた部分(縦20センチ、幅5・7メートル)を取り出したところ、下部の縁3カ所に、2~3センチの葉が7、8枚ずつ描かれていた。武家の書院造りなどにみられる意匠「帳台構(ちょうだいかまえ)」で、木枠や畳に隠れる部分という。
障壁画の内容と関連はなく、何の植物か、作者や描かれた時期も不明という。松本直子学芸員は「大改修の際、転用した板にもともと描かれていたかもしれないし、絵を描く途中で構図を変更した可能性もある」と推測する。「松錦鶏図」は展示・収蔵館で開催中の大政奉還150年記念展示で公開中。11月12日まで。入場料と入館料が必要。
元離宮二条城事務所075(841)0096。