リュミエール兄弟が派遣したカメラマンにより撮影された剣道の映像
映画を発明したリュミエール兄弟が世界各地にカメラマンを派遣して製作した作品群に、1897(明治30)年の京都の映像がある。京都最古で国内でも最古級の映像とみられ、剣道をする男たちが写っている。開催中の「京都ヒストリカ国際映画祭」に合わせて京都を訪れたフランスのリュミエール研究所長でカンヌ映画祭のティエリー・フレモー総代表は30日、「京都のどこで撮られたのか、ぜひ教えて」と呼び掛けた。
剣道の映像は1897年10月にカメラマンのジレルが撮影し、翌年2月にフランスで上映された記録がある。日の丸を掲げた建物前で約50秒間、2人の男が立ち合いをする姿が写る。
ヒストリカ映画祭の会場である京都文化博物館の森脇清隆主任学芸員は「まだ撮影場所を特定できていない。立派な建物なので1895年の内国勧業博の会場となった岡崎一帯や警察関連の施設では」と話す。
リュミエール兄弟は1895年、撮影兼映写機シネマトグラフを発明。以降10年間で1422本を製作した。京都の実業家稲畑勝太郎が1897年1月、日本に同機を持ち帰り、木屋町の元立誠小の場所で2月ごろ国内初上映。同伴し来日したジレルは、剣道や稲畑家の食事風景を撮った。
フレモー氏は膨大な作品群から剣道の映像を含む108本を厳選した映画「リュミエール!」(12月1日から京都シネマで公開)の監督も務めた。30日に元立誠小を訪れたフレモー氏は「京都は映画史でも大事なまち。日本で初上映された場に立てて誇り」とした上で、剣道の映像を「当時のフランスでの日本イメージを象徴し、テーマや構図も後世の映画史を先取りしている。映像を見た方々と歴史を築きたいので場所など詳細を教えて」と話す。
情報は京都新聞文化部のメールbunka@mb.kyoto-np.co.jpへ。
【京都新聞】