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漆塗りスケボーで魅力PR 京都

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消費量が減少している漆の魅力を伝えようと、京都の漆精製販売業の4代目にあたる男性が活動を広げている。趣味のスケートボードに漆を塗って独特の風合いをPRするほか、冊子やインターネット、講演を通じた情報発信にも力を注ぐ。「漆文化を次代に伝えたい」と意気込んでいる。

 堤淺吉(つつみあさきち)漆店(京都市下京区)の専務堤卓也さん(39)。同社は1909年創業で、仏壇や社寺建築、茶道具、文化財修復に用いられる漆の精製と販売を手掛けてきた。

 堤さんは北海道大を卒業後、養鶏の仕事に携わっていたが、家業を継ぐために27歳で帰郷した。漆の国内消費量は1975年ごろは約500トンだったが、今や50トンを切っている。「このままでは漆の文化が守れない」と危機感を覚えた。

 漆をカジュアルに楽しんでみようと、スケートボードや自転車のフレームを漆で塗装してみた。重ねて塗ることで、木の傷みや経年変化が色の濃淡になり、工芸品とは趣の異なる質感になると気付いた。「漆はもともと、木の保護に使われていた。傷ついてもメンテナンスでき、味わいにもつながる」と力を込める。

 昨秋には、給食で漆器を使っている京都市内の認定こども園や、希少な丹波漆の生産現場などを取材し、冊子「うるしのいっぽ」にまとめ、インターネットでも公開した。友人たちのスケートボードや店舗の看板に漆を塗ったり、講演したりして、漆の良さを発信するようになった。

 漆の原料となる樹液は約15年育てた木から約200グラムしか採取できない上、国内消費量の大部分を輸出する中国では、収益が少ないため植樹が減っているという。このため、最終的には漆の木と国内消費量を増やすことを目標に置く。堤さんは「漆は地球にやさしい循環可能な資源。漆を通して今の自分たちの生活を見直し、子どもたちのためにどんな世界を残すか一緒に考えたい」と話している。
 

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