(左から森田健作千葉県知事、鄭文燦桃園市長)
(台北 27日 中央社)桃園市の鄭文燦市長が日本産食品に対する輸入規制の緩和を推進しようとしているのではとの懸念が浮上している。同市政府新聞処の張惇涵処長は27日、地方の首長は政府の取り決めを遵守するとの立場を示した。同市が一方的に規定を設けることはなく、食品の輸入を先行して再開することもないと改めて説明した。
鄭市長は23日、食品輸入規制の対象になっている千葉県の森田健作知事と会談し、同県を香川県、宮崎県と共に来年4月に開幕する農業博覧会に招くと明らかにした。NHKはこれについて、鄭市長が来年同市で開催される農業関連イベントにおいて同県産農産物を販売できるよう政府に働きかけていく考えを示したと報道。台湾の各界でさまざまな憶測が広がった。
衛生福利部(衛生省)食品薬物管理署の林金富副署長は報道について、今のところ、台湾の禁輸措置に変更はなく、解禁する計画もないとし、千葉県産の農作物の輸入解禁に関するいかなる情報も受け取っていないと中央社の記者に話した。来年、規制が緩和される可能性について尋ねられると、「来年のことは来年のことだ」と答え、明言を避けた。
鄭市長は23日、森田知事との会談後に行われた会見で、市政府は中央政府との意思疎通を図っていくとしながらも、農業博覧会への参加は台湾が定める食品規定の基準を満たす必要があるとし、輸入商品も許可が得られたものに限ることを基本原則とすると説明していた。
野党・国民党の呉志揚立法委員(国会議員)は27日、立法院(国会)で開かれた記者会見に出席し、輸入が禁止されている5県産食品の不法な輸入に断固反対だと主張。鄭市長が日本メディアの報道を誤りだと考えるなら、訂正と謝罪を要求するべきだと訴えた。
台湾は2011年の東京電力福島第一原発事故以降、福島・茨城・栃木・千葉・群馬の5県産食品の輸入を全面的に停止している。