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「洛南高でなかったら、記録なかった」 9秒台、桐生選手の父

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 陸上男子100メートルで、日本人初の9秒台となる9秒98の日本記録を出した滋賀県彦根市出身の桐生祥秀選手(同市立南中-洛南高-東洋大)。快挙を達成したスプリンターは、父・康夫さんへの感謝の気持ちを口にする。このほど京都新聞のインタビューに応じた康夫さんは、記録に与えた京都・滋賀関係者の影響の大きさを指摘し、陰で支え続けた親心を明かした。

■「記録は参考になると」
 9月に福井県営陸上競技場であった日本学生対校選手権。スタンドからレースを見守った。「東洋大として最後の大会。観戦するとは告げていませんでしたが、いつも行っているので、知っていたと思う。まさか(9秒台が)出るとは思っていませんでした」。強い風が吹いていた。「記録は参考になると思っていた」が、追い風は公認される1・8メートル。タイマーは9秒98を表示した。「スタジアムはすごい雰囲気だった。いずれ、だれかが9秒台を出したのでしょうが、みなさんから桐生君が最初で良かった、と言ってもらえたのがうれしかった」

 6月の日本選手権では4位に終わり、個人種目での世界選手権代表を逃した。実家に戻った桐生選手は「頑張れよ」とだけ言葉をかけた康夫さんの気遣いに、「あれで救われた」と話している。洛南高3年時に10秒01を初めてマークしてから順調な歩みばかりではなかったが、「そうした苦しみは言ってこないし、こちらも聞かない。家では陸上の環境から外すことを心がけた。緊張状態が続くのはしんどいと思うので」。

■「良いことばかりを言わなかった」
 「洛南高でなかったら、今の記録はなかった」と断言する。「進学先を決める時、柴田(博之)監督が中学校まで来てくれた。全国中学で2位でしたが、特別扱いはしませんと。この先生は違うなと思い、親としては即決でした。ほかのお誘いとは逆で、良いことばかりを言わなかった。指導者の背中を見て育ったのが大きいと思う」。滋賀県内から洛南高まで一緒に電車通学した陸上部の同級生3人にも感謝する。「素晴らしいメンバーがそろっていて、10秒01を出した後もうまく接してくれた。ほかの学校では浮いてしまっていたかもしれない」

 東京五輪に向けて注目が集まる。「2020年までは地元開催の重圧もあり、大学4年間より大変かも。本人がモチベーションや体調面をどう維持するかが大切。大学卒業後も、ベースとしては現在の指導陣と競技を続けることになるのでは」と話し、「今の中高生が息子を見て成長してほしい。次が続かないと、陸上界全体が盛り上がらないですし」と、期待した。


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