18世紀末御製台湾原漢界址図=国立台湾歴史博物館提供
(台南 9日 中央社)南部・台南市の国立台湾歴史博物館で5日から、16世紀以降の約500年間に作成された地図約70点から台湾の歴史をひもとく特別展が始まっている。
なかでも18世紀末、漢民族と原住民族(先住民)が住み分けた境界線が手に取るように分かる古地図「18世紀末御製台湾原漢界址図」は、英ロンドンの大英博物館や中国大陸・北京の故宮博物院の所蔵品を含め、世界で6点しか確認されていないという貴重な一枚。9日に予定されている特別展の開幕式で初公開される。
同図は、領地の状況を清朝の皇帝に報告するために作成されたもので、納税や労役の義務を負う漢民族らが居住する「人界」と、統治対象外とされる「番界」との境界線が引かれている。全長404.5センチ、幅49.2センチ。絵図・文字とも精巧で、当時の地名や先住民の侵入を阻むために建設された見張り所や溝などが克明に記録されており、調査から完成まで3~5年を要したとされる。
所有者は渡仏して活躍した台湾の漢学者で、画家としての顔も持つ故・侯錦郎氏。古地図は2013年に台湾に輸送されて研究が進められ、今年4月、国立台湾博物館に寄託された。
特別展ではこのほか、日本統治時代の「台湾鉄道地図」や「米英撃滅大東亜建設大観」と題された第2次世界大戦中の漫画地図なども見ることができる。開催は来年8月12日まで。