解体が決まった「ED31形」の電気機関車
近江鉄道は、大正期に製造され昭和末まで活躍した電気機関車を順次解体する方針を決めた。老朽化が深刻化しているため、今年中に10両のうち3両を解体する。残る車両も処分する方針だが、鉄道ファンからは惜しむ声もあり、希望があれば譲渡も検討するという。16日には滋賀県彦根市の近江鉄道ミュージアム鉄道資料館で電気機関車を一堂に並べて最後の特別イベントを開く。
同社の電気機関車は1950年代に国鉄から払い下げを受け、86年までセメントの原石や石油、ビールなどを運ぶ貨車をけん引した。引退後は同資料館で展示してきたが、長年の風雨で痛みが激しく、安全面からも維持し続けるのは難しいと判断した。
解体が決まった3両は、1923(大正12)年製の「ED31形」。長野県の伊那電気鉄道(現JR飯田線)や国鉄を経て、近江鉄道で主力として活躍した。来年以降、1926(同15)年製の「ED14形」を含む10両すべてを解体する予定といい、鉄道ファンからは「寂しくなる」、「ぜひ保存を」との声も多く寄せられているという。
そのため、同社は機関車の部品販売のほか、引き取りを希望する個人や団体があれば、輸送費などを負担してもらった上で、譲渡も検討するとしている。
特別イベントでは、ED31形の車内で汽笛やブレーキ操作の体験や写真撮影会、記念グッズ販売などを行う。同社は「10両がそろうのはこれが最後。ぜひ勇姿を見てほしい」と来場を呼び掛けている。午前10時~午後3時で無料。同社鉄道部0749(22)3303。