試合後、長く伸びたフィフィティーンの影
「絶対に勝つからな」。試合前、フィフティーンは誓った。今シーズンを最後に左胸から消える「伏見工」を強く握りしめ、涙が頰を伝う。闘志を高ぶらせ、伝統の赤いジャージーはピッチに駆けだした。
11月中旬、京都市左京区の宝が池球技場で行われた全国高校ラグビー大会の京都府予選決勝。伏見工業・京都工学院高は聖地「花園」への切符をかけて京都成章高と対戦した。
伏見工業高は花園で4度の日本一に輝き、多くの日本代表選手を輩出してきた強豪校。昨春、洛陽工業高と統合した京都工学院高の開校に合わせ、ラグビー部は合同チームとなり、伏見工の名は現3年生が引退する今大会限りで、ラグビー界からなくなる。
伏見工業・京都工学院高は気合に満ちていた。前半、スクラムやモールで押し込み、先制トライをもぎ取る。優勢を保つかに見えた後半、京都成章高にペースを奪われ逆転を許す。「まだいける」。終了間際に意地のトライを奪うが、ノーサイドのホイッスルが鳴り響いて夢はついえた。
赤色に染まるスタンドから大きな拍手がわき起こる。まぶしい夕日を受けた「最後のフィフティーン」は、後輩に赤のジャージーを託していく。