外国人観光客が急増している京都市で、観光バスの流入に伴うトラブルが多発している。
飲食店目当ての観光客を乗せたバスが住宅街にまで押し寄せ、ごみのポイ捨てなどの迷惑行為が横行。観光名所では路上駐車のバスが列をなす。新たな駐車場の確保は困難で、市は抜本的な解決策を打ち出せないでいる。
「こんなところに観光バスが来るなんて思いもしなかった」。京都市左京区の閑静な住宅街に住む女性(48)は憤る。
住宅街は、ホテルや旅館が営業できない住居専用地域にあり、最も近い観光スポットの下鴨神社(左京区)から約1キロ北にある。しかし、女性の自宅近くの空き家に昨年7月頃、中国人観光客向けの飲食店が開業。以降、店前の市道に、バスが多い時で5、6台並ぶようになった。
バスの出発を待つ観光客には、近くの川にごみを捨てたり、歩道の縁石に座り込んだりする人もいる。「トイレを貸して」と頼まれた住民もいたという。
女性は店に改善を求めたが、聞き入れられないとして今年9月、市に指導を求める請願を市議会に提出。11月2日に全会一致で採択された。市の担当者が店に改善を要請したところ、店側はバスを少し離れた幹線道路に止めてもらうよう努めると約束。その後はバスの台数が減り、迷惑行為は収まりつつあるという。
店側は取材に対し、「店は年内で閉める。取材には応じられない」と話した。
市によると、他に市内の4地域で、特定の飲食店目当ての観光客を乗せたバスが路上に駐停車し、警察に苦情が寄せられたという。