「洞窟燃料廠」として旧日本軍によって掘られたトンネル
(高雄 19日 中央社)旧日本軍が残した謎の洞窟があるという南部・高雄市の半屏山一帯。長い間ベールに包まれていた姿が17日、高雄市旧城文化協会の案内によってメディアに公開された。
同協会の郭吉清理事長によると、これは「洞窟燃料廠(製油所)」。戦時中、石油精製を担当する高雄の第6海軍燃料廠本部が空襲で壊滅状態にあったことを受けて、1944年、緊急に建設が進められたものだ。掘削機はなく、火薬を用い、市民も多く動員して約3カ月で10本のトンネルを掘ったという。
現在9本が残っているトンネルの入り口は、台湾高速鉄道(高鉄、新幹線)左営駅近くの斜面に設けられており、内部は幅、高さともに約6メートル、全長約60メートルで、トラックなどの輸送機関も通れる。しかし、実際に使用されることのないまま終戦を迎えたとされる。
戦後は中華民国政府に接収され、「軍事管制区」として部隊が配置された。1980年代に管制が解かれてからは放置され、2002年に道路工事の途中で再発見されるまで、見向かれることはなかった。高雄市旧城文化協会は洞窟についての理解を深めようと、約10年にわたって調査を続けてきた。
半屏山にはほかにも、旧日本軍の地下貯水槽跡が残る。史料には1944年1月竣工とあり、存在はうわさされていたものの、所在地が石油元売大手、台湾中油高雄製油所の敷地内にあったため、真相は不明だった。同製油所が移転のため、2015年末に機能を停止したことをきっかけに同協会が調査に着手し、発見した。
貯水槽は筒状で、全長約120メートル、高さと幅は約10メートル。推定容量は6500トン。高屏渓から取り込んだ水を地下水路で左営軍港の軍艦に供給していたとみられる。現在内部に水はなく、設計に不備があったためか、使われなかったためかは定かではない。
高雄市政府文化局の林尚瑛副局長は、歴史的な意義があるとしながらも、文化財としての価値は専門家の意見や建造物の状況などを基に判断するとの考えを示している。