京都丹後鉄道(宮津市)が、府立網野高(京丹後市)と連携し、「幽霊列車」(30席)の運行を始めた。列車内では、地域に伝わる怪談や、生徒が考案した「背筋も凍る」仕掛けが次々に用意され、参加者した子どもたちは「ワクワク」と「ゾクゾク」を楽しんだ。(福本雅俊)
ガタン。列車が駅でもない場所で突然、停車した。どこからともなく「私の人形、どこ」と弱々しい声が聞こえてくると、乗客の子どもたちの顔がこわばった。
「幽霊列車」のイベントは、夏休みに旅行客に丹後地方の思い出を作ってもらおうと同鉄道が企画。網野高に協力を依頼し、同高企画経営科3年の生徒10人が、住民に地域の怪談などを聞き取ったり、オリジナルの怪談を創作したりして、シナリオなどを考案した。生徒は本格的なメイクをして幽霊役としても登場するほか、列車内を飾るお化けや、乗車時に渡される「お守り」なども手作りした。
初日の5日には、約10人が乗車。列車内では、生徒が京丹後市網野町の峠に伝わる怪談などを紹介すると、子どもらはお守りを握りしめて耳を傾けた。その後、列車は途中停車し、クライマックスの創作怪談がスタート。なくなった人形を捜して行方不明になった女の子の話を幽霊に扮ふんした生徒が演じ、乗客らを驚かせた。
乗客の同市立かぶと山小3年、高井悠人君(8)は「ちょっと怖かったけど、お守りを持っていたから大丈夫。楽しかった」と満足そうだった。
企画に協力した同高3年、掃部かもん捺輝さん(17)は「子どもをストーリーに巻き込むことができるように台本を何度も練り直した。暑さを吹き飛ばす怖さだけでなく、笑顔で降車できるものに仕上がった。ぜひ体験してほしい」と話している。
運行は12、19、20日。天橋立駅を午後6時42分に出発し、夕日ヶ浦木津温泉駅(同7時43分着)までの1日1便。途中下車はできない。大人2200円、子ども800円。乗車前日まで同鉄道ホームページで予約でき、当日の購入も可能。問い合わせは、同鉄道(0772・25・2323)。